「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和2年度)」を公表しました
~相談件数は微減、紛争解決援助件数は増、調停件数は減~

 

厚生労働省は、このたび、都道府県労働局や公共職業安定所(ハローワーク)における「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和2年度)」を取りまとめましたので、公表します。

ハローワークに寄せられた障害者差別および合理的配慮に関する相談は 246 件で、対前年度比 3.1%減と、僅かに減少しました。一方、労働局長による紛争解決の援助申立受理件数は 12 件と前年度の3件から増加、障害者雇用調停会議による調停申請受理件数は5件と前年度の 13 件から減少しました。

詳細は資料に記載されています。

 

また、資料には「障害者差別禁止・合理的配慮に係る相談に対する対応事例」として、ハローワークの助言等により対応が図られた事例も掲載されています。

 

■ハローワークの助言等により対応が図られた事例

①【合理的配慮に関する助⾔事例】(身体障害/軽作業)
○ (本人の家族からの相談)覚えにくいという障害特性があるにもかかわらず、業務遂⾏に当たって職場の社員からの配慮はなく、また、様々な暴⾔を受けた。

☞ ハローワークによる事業所への聴取の結果、相談内容は事実であり、本人は退職を決めたが、事業所に対し、本人への謝罪とともに、今後、障害者を雇用した際には、当人及び一緒に働いている社員双⽅へ状況を確認するなどの配慮を⾏う旨を助⾔し、事業所は本人及び家族に謝罪した。

②【合理的配慮に関する助⾔事例】(身体障害等/技術的職業従事者)
○ 障害であることを理由に契約満了とされた。また、障害に対応した備品の提供を申し出ていたが応じてもらえなかった。

☞ ハローワークによる事業所への聴取の結果、労働契約更新に関する差別は確認されなかったが、備品が不⾜する事情があったことから、備品を使用しない別の対応を認めるなどの配慮についての助⾔を⾏った。

③【合理的配慮に関する助⾔事例】(身体障害/事務職)
○ コロナ感染防⽌対策として在宅勤務となってから通院時間が取れない。また、障害に応じた配置替えを希望したい。

☞ ハローワークより事業所に対して聴取を⾏う中、通院可能な就業時間とされた。また、人事面では制約はあるものの障害特性に応じた対応を⾏いたいとの意向であり、合理的配慮の提供義務、障害に応じた配置等に関して改めて助⾔を⾏った。

 

また、「障害者雇⽤調停会議による調停事例」も掲載されています。

 

■障害者雇⽤調停会議による調停事例

①【合理的配慮に関する調停事例】(精神障害/販売)
○ 従来担当とされなかった業務の実施を指示されるようになるが遂⾏できず、職場からのフォロー等もない中、離職を余儀なくされ、経済的・精神的損害に対する補償⾦の⽀払いを求めたいとして、調停を申請。

☞ 調停委員が被申請人の主張を聴取したところ、指導や業務遂⾏に関する合理的配慮の取組の不⾜を認めた。調停委員が早期解決のため双⽅が譲歩可能な解決策を調整した結果、被申請人が、企業として合理的配慮に向けた⼀層の努⼒と取組を⾏うこと、解決⾦を⽀払うこと等を内容とする調停案の受諾勧告を⾏ったところ、合意が成⽴し、解決した。

 

その他「合理的配慮の具体例」等、様々な資料も掲載されていますので、ぜひ資料をご参照ください。

 

(出所・資料)「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和2年度)」を公表しました

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000797564.pdf