淀川労務協会の三浦です。

 

私は仏教高校出身で、週に1回宗教の授業があったのですが、その際に教わった閻魔大王のお話を今日は書いてみたいと思います。

閻魔大王といえば、一般的には“地獄の番人”として「恐ろしい!」というイメージをお持ちかと思います。
・・・・・ですが、実はそれは全くの誤解です。
閻魔大王は、インド神話に出てくる人類最初の死者であるヤーマさんだとされています。
現世に悪がはびこってきたので、人間が大好きなヤーマは他の神様がやりたがらない汚れ仕事を自ら引き受けて地獄を創り、閻魔大王として鬼とともに悪人を浄化するお仕事をしているのです。
「閻魔大王として」・・・と書いたのは、実は『閻魔教』によるとヤーマの別の顔は地蔵菩薩・・・つまりお地蔵様なのです。
お地蔵様のような優しい顔をしているとどうしても悪人に舐められてしまうので、地獄で悪人に対峙するときには閻魔大王に化け、あの怖い顔になっているのです。
街で見かけるあの優しいお地蔵様と閻魔大王が同一人物だとはびっくりですよね。
閻魔大王は死者を「天国行き」「地獄行き」のいずれにするかを決める裁判官な訳ですが、ほとんどの人はどちらにも行けないそうです。 つまり、現世でよほどの悪事を働かない限り地獄に行くことはなく、閻魔大王にとって死者を地獄行きにする事はそれはそれはとても心苦しい事なんだそうです。
ですので、閻魔大王は仕方なく地獄行きを命じなければならない時には、その死者が地獄で受ける苦行の3倍の苦しみをこっそり自分も受けているそうです。
現世の刑務官はやはり「お仕事」なので、罪人を更生させよう・・・という気持ちがどれだけ清らかなものなのかは定かではありませんが、閻魔大王が強いる苦行は本当に100%慈悲の心の下に命ずるものなので、万一、地獄に落ちた場合には閻魔大王のことを心から信用して苦行を受けるのが良いのではないかと思います。
また、閻魔大王の指示の下、地獄で働く鬼はヤーマのファミリーですので、鬼も閻魔大王と同様にとても慈悲深い者と言えます。こう考えると、「桃太郎の鬼退治」はもってのほか・・・という事になりますね。
ちなみに、有名な青森のねぶた祭りでは地蔵菩薩閻魔王が現世救済のために地獄からこの世に現れた場面だとされています。
都会の片隅でもお地蔵様が多数存在する事、そしてお年寄りが地蔵様に手を合わせ、いつも綺麗に祭る姿はこの国の素晴らしい文化だと思っています。
特に信心する宗教はないのですが、私はこのお話を聞いてから、街でお地蔵様を見かけたときには時間があれば極力手を合わせるようにしています。
今回の震災で、沿岸部では多数のお地蔵様が流されたかと思いますが、復興の際には出来れば元の場所に同じようにお地蔵様が修復されることを願っています。