業務部の三浦でございます。

 

27歳の頃のお話です。

 

私が担当する顧問先の学校法人の教職員の方々が合同労組にご加入され、労働条件の改善に関して労働争議になりました。

本事案の相談を受け、紆余曲折の結果、団体交渉の継続とは別に学園内に人事制度改革に関するタスクフォースを立ち上げて調和的に問題を解決することになり、そのハンドリングとファシリテーション役を担わせて頂く事となりました。(もちろん支配介入にはあたらないようにテーマを限定し合同労組に事前説明の上)

 

タスクフォースのメンバーには使用者寄りの方だけではなく、合同労組にご加入されている経営に批判的な方にもあえてメンバーに入って頂き、合同労組との協議とは異質の比較的建設的且つ本質的な議論が為され、タスクフォースの結果を合同労組との団体交渉に展開することで団体交渉が幾らか融和的になり、効果的に機能していました。

 

ところがある日、賞与額の算出基準がテーマとなった際に議論が紛糾し、合同労組に加入されているとあるメンバーの方が少し偏った発言を為されたため、私は思わず口が滑り、「結局はお金なんでしょ・・」という趣旨の、ファシリテーターとしてあるまじき情けない発言をしてしまいました。

 

この発言に対してそのメンバーの方は当然に激怒され、「貴方にそういう事を言われるならこの会議には私はもう参加しない」と協議の場から離脱され教室に帰っていかれました。

 

結果、協議が進まなくなり、使用者側からも「三浦さんどうしましょう・・・」という事になり、これはもう完全に私の責任ですから急いで教室を訪れて当該メンバーの方に平身低頭、誠実に謝罪し、厳しいお叱りを受け、なんとか協議の場に復帰頂きました。

その学校法人様とは現在も顧問契約を頂戴しており、今では労使関係も比較的安定的ではあるのですが、当時のことは若気の至りでは済まされない苦い記憶です。

 

勿論、様々な経験を積ませて頂いた今ではこのような大失敗はありえませんが、少し紛糾するような議論の場に招かれる際に参加メンバーの方から刺激されることがあっても感情的にならずに済んでいるのは、この苦い記憶が糧になっているのかも知れません。

 

コロナ禍が影響し労務に関する殺伐とした議論は来年以降も増えてくるでしょう。

私がこのような議論に関与させて頂く際には、従業員の方々を含めた「組織」がより良い未来に向かえるように微力ながら丁寧に対応していきたいと思います。

 

よいお年をお迎えください。