5月26日、第140回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が開催され、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案」の要綱と概要、「雇用調整助成金の拡充と新たな個人給付制度の創設について」の資料、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案」の要綱と概要がそれぞれ公表されました。

非常に重要な内容ですので下記サイトをご参照ください。

なお、下記に「 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案の概要」を転載致します。

また、本日の加藤厚生労働大臣の記者会見も重要な内容が発言されていますので、一部抜粋して転載致します。

 

 

<新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案の概要>

改正の趣旨

新型コロナウイルス感染症による国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により休業させられた労働者のうち、休業中に賃金を受けることができなかったものに対して、雇用保険法に基づく雇用安定事業として、当該労働者の失業の予防を図るための必要な事業等を行うことができることとするとともに、当該影響に対応するため基本手当の給付日数を延長する雇用保険法の特例措置等を講ずる。

 

改正の概要

1.休業手当を受けることができない労働者に関する新たな給付制度
① 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により事業主が休業させ、休業期間中の賃金(休業手当)の支払いを受けることができなかった雇用保険被保険者に対し、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を支給する事業を実施することができることとする。
(注)中小企業の被保険者に対し、休業前賃金の80%(月額上限33万円)を休業実績に応じて支給することを想定。
雇用保険の被保険者でない労働者についても、予算の定めるところにより、①に準じて、同趣旨の給付金を支給する事業を実施できることとする。
③ ①及び②の給付金について、公租公課禁止等の措置を講ずる。
④ その他、調査、報告に関する規定の整備等所要の措置を講ずる。

2.基本手当の給付日数の延長
雇用保険の基本手当の受給者について、給付日数を60日(一部30日)延長できることとする。

3.雇用保険の安定的な財政運営の確保
雇用保険制度の安定的な財政運営を確保するため、以下の措置を講ずる(いずれも令和2年度及び令和3年度の措置)。

① 求職者給付等に要する経費について、経済情勢の変化や雇用勘定の財政状況を踏まえ、一般会計から繰り入れることができることとする。
② 上記1①の事業、雇用調整助成金等に要する費用の一部として、一般会計から繰り入れることができることとする。
③ 育児休業給付に要する経費を、積立金から借り入れることができることとする。
④ 雇用安定事業に要する経費を、積立金から借り入れることができることとする。

 

<加藤厚生労働大臣会見概要 5月26日>

会見の詳細

閣議等について

大臣:

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おはようございます。冒頭4点お話をさせていただきたいと思います。 まずお手元にあると思いますが、本日新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案の要綱について労働政策審議会に諮問することにしております。法案の概要でありますが、まず休業中の労働者への対応ということで、雇用保険法の雇用安定事業として、休業中であるが賃金、休業手当を受けられない中小企業の労働者に対して、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金という制度を設け、支給する事業を実施できるようにするものであります。2点目としては、失業中の方に対して雇用保険の基本手当の給付日数を延長できるようにすること。3点目として、こうした対応や雇用調整助成金の拡充等の一方で、雇用保険制度の安定的な財政運営を図るため、一般会計からの繰入れや積立金いわゆる失業給付のための積立金からの借入れができることとすることを盛り込んでおります。なお、これらの関連予算は第二次補正予算案に盛り込む予定となっております。_x000D_
また、あわせて二次補正予算案では、雇用調整助成金の拡充を盛り込むことで最終調整をしております。具体的には、上限額を日額1万5千円、月額では33万円に引き上げること、解雇等をせずに雇用を維持している中小企業の助成率をすべからく10分の10に引き上げることなどを実施し、また、4月に遡及をして適用し、6月末までの期限を9月末までにするという、適用期限の延長を行うこととしております。また、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金についても、先ほど申し上げた個人に支払う支給金でありますが、月額33万円という上限額の水準や実施時期は雇用調整助成金の拡充と同様に考えているところであります。法律案について、労働政策審議会においてご議論をいただき、その上で国会において予算案とともに法案の速やかな成立を期し、速やかな施行を図っていきたいと考えております。
また、2点目でありますが、本日、派遣労働者の雇用の維持に関して私から派遣事業者団体及び経済団体に対して要請を行うことにしております。今後、労働者派遣契約や労働契約の更新の時期を迎える方が多くなると考えられることから、派遣事業団体に対して、本日新たな拡充策を公表した雇用調整助成金を活用するなどにより、安易な雇い止めを行わず、派遣労働者の雇用の維持を図っていただくこと、また派遣先である経済団体に対しても可能な限り、労働者派遣契約を更新していただくことについてお願いをするものであります。_x000D_
また、個別の派遣会社についても、都道府県の労働局を通じて直接あるいは電話等において、強く働きかけをしていきたいと考えております。今後とも雇用をしっかり守っていくとの立場に立ち、制度の充実を図るとともに、こうした施策の取組を更に浸透させて労働者の雇用の維持につなげていけるように全力で努力をしていきたいと思います。お手元に調整中の要請案をお配りさせていただいているところです。
3点目でありますが、小学校休業等対応助成金・支援金についてです。これは2つの制度があります。お手元の資料にあるように、これには2つの制度がありますが、今般の新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等により仕事を休まざるを得なくなった保護者の皆さんを支援するための制度であります。先ほど申し上げた雇用調整助成金の上限額の引き上げ等に合わせて、この本助成金・支援金についても助成金については日額上限を1万5千円に引き上げること、また支援金についても支給日額を7千500円に引き上げることを予定しております。本助成金・支援金の適用対象となる期限も当初6月まででありましたが、9月までに延長し、上限額等の引き上げについては4月に遡及をして適用することにしております。_x000D_

最後でありますが、昨日緊急事態宣言が解除されることになりましたが、引き続き感染拡大防止策をしっかり講じていただきたいと思っております。しかしこれから気温が高くなる季節を迎えます。例えば、一昨年平成30年には熱中症で9万5千人を超える方が救急搬送をされ、残念ながら1500人を超える方が亡くなりました。感染拡大防止策を講じながら、この時期は熱中症に対する予防もしっかりととっていかなければなりません。このため、お手元に資料がありますが、厚生労働省では、環境省と連携して、お手元に資料がありますが、令和2年度の熱中症予防行動の留意点についてまとめまして、本日都道府県等へ周知いたしました。
概要を申し上げますと、エアコン等による適切な温度調節やこまめな水分補給など従来からの基本的な対策の徹底に加え、特にマスク着用時には体への負担がかかるため、屋外で人と十分な距離を確保できる場合にはマスクを外すこと、マスクを着用する場合には負荷のかかる作業や運動を避け、周囲の人と十分距離を取った上で適宜マスクを外して休憩を取ることなどをお示ししております。また熱中症にかかりやすい高齢者、子ども、障害者の方々に対して周囲の方からも、3密を避けつつこうした熱中症予防について積極的なお声がけをお願いしたいと思います。環境省と連携して、積極的な呼びかけや広報に努めていきたいと思っております。私の方からは以上です。

 

質疑(抜粋)

記者:働く妊婦さんについてですが、働く妊婦さんからの不安の声を受けて、今月均等法の指針が改正されて、コロナ感染の不安に起因する場合でも休業などの医師の指導に応じるよう事業主に義務付けるという新たな措置が始まりました。ただ、妊婦さんの方からは、なお感染の不安から適用したいけれども賃金補償がないので休めないなどの声も出ております。妊婦さんの休業補償についてどのように二次補正に盛り込んでいくかということを含めて、妊娠中の女性労働者からのこうした声にどう対応していくのかお願いします。

大臣:妊婦の皆さん方は平常時においても様々なご不安を抱えておられると思います。加えて、今回の新型コロナウイルス感染症ということがそれに加わって、一層様々なご心配や不安があると私どもも認識をしております。そうした中で、今お話がありましたように、男女雇用機会均等法に基づく指針を改正させていただいて、新型コロナウイルス感染症に関する心理的なストレスに関し、医師から指導を受けた妊婦の方に対して、休業などが必要な母性健康管理を講じることを事業主に義務付けるという措置をとりました。これについては、まずは医師からそうした指導がなされることが前提ですので、日本医師会や日本産婦人科医に対して、会員に周知していただくよう、また病院関係団体に対しても同じことを申し上げさせていただくとともに、特に、病院等には妊娠中の医療従事者の方もいらっしゃいますので、休暇を取得させる等の配慮もお願いしました。
また経済団体に対しても、今回の趣旨、そして特に事業主が適切に措置を講じない場合には、労働局による助言、指導、勧告、更に勧告違反の場合には企業名公表という大変強い規制になっているということも含めて、労使団体に対し周知協力をお願いし、更に我々としても制度の一層の周知啓発を図り、そうした対応がそれぞれの企業の現場でとられるように支援していきたいと思っております。その上で、休業は取れるけれども所得面の補償が付いてこないのではないかというご指摘もいただいています。安心して休むことができる仕組みについては、各方面から、与党も含めてご要望をいただいておりますので、まさにその具体的な仕組みについて、今第二次補正予算の中に盛り込むべく、最終調整を行っているという状況であります。いずれにしても、妊婦の皆さんが安心して産んでいただける環境をしっかり作っていきたいと思います。

 

記者:冒頭ご説明のあった雇用保険の基本手当の給付日数の延長について、どの程度延期をするのかということと、延期をする理由についてお願いします。また、雇調金のオンライン申請のトラブルがありましたが、こちらの復旧のメドなどありましたらお願いします。

大臣:まず雇調金のオンライン申請ですが、申請スタートからそれを中止せざるを得なかった、また一部ではありますが個人情報が漏洩したおそれもあります。改めてお詫びを申し上げたいと思います。一日も早い復旧に向けて、開発をした企業とも連携を取って取り組むとともに、この間どういう情報が漏れ得たのかということもチェックをして、しっかりそういった面でも対応を重ねていきたいと思っております。
それから、失業中の対応期間でありますが、原則としてプラス60日延長するという方向であります。基本的に今も災害等の時にはそうした規定がありますが、今回災害ではありませんので、ほぼそれに準じた形で対応できる仕組みを設けたいということでこの法案の中にもそうした支給に必要な延長規定を盛り込むことにしております。

 

記者:冒頭にお話のあった新制度の件なんですが、企業から休業手当を少しでも受け取っている人は、新制度の給付は受けられないのでしょうか。その場合、休業手当が十分な額を受け取っていない場合、支援が行き渡らない可能性があるのではないでしょうか。

大臣:「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」については、基本的には休業手当は受けておられない中小企業の労働者の方が対象になるということであります。今のご指摘のように、低い金額の休業手当しか得ていない方に関しては、むしろ雇調金を活用していただいて、もう一度増額を図っていただくよう、我々は働きかけをすることで、これは遡及適用できますから、過去一回払ったけども、もう一回それに上乗せして支給していただくという形で対応していただけるように周知も図り、働きかけをしていきたいと思います。

 

第140回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11521.html

■新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案要綱

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000633864.pdf

■新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案概要

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000633865.pdf

■雇用調整助成金の拡充と新たな個人給付制度の創設について

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000633866.pdf

■雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000633867.pdf

■雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000633868.pdf

■加藤厚生労働大臣会見概要5月26日

https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00247.html