厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」(調査実施者:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社)について、このほど、報告書が取りまとめられましたので公表します。

この調査は、平成28年度に実施した職場のパワーハラスメントに関する実態調査から4年が経過し、ハラスメントの対策に取り組む企業割合や労働者の状況も変化していると考えられることから実施しました。今回の調査は、全国の企業と労働者等を対象に、令和2年10月に実施したものです。

調査結果概要を下記に掲載します。

 

<企業調査結果のまとめ>

○ 過去 3 年間のハラスメント相談件数/該当件数の傾向としては、パワハラ、顧客等からの著しい迷惑行為、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、就活等セクハラでは「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」の割合が最も高かった(「件数の増減は分からない」「把握していない」を除く)。また、顧客等からの著しい迷惑行為のみ、「件数が増加している」の割合の方が「減少している」より高かった。

○ パワハラ、セクハラおよび妊娠・出産・育児休業等・介護休業等ハラスメントに関して実施している雇用管理上の措置としては、「ハラスメントの内容、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知・啓発」および「相談窓口の設置と周知」の割合が、いずれも約 8 割、「相談窓口担当者が相談内容や状況に応じて適切に対応できるようにするための対応」の割合が約 4 割という結果となった。

○ ハラスメントの予防・解決のための取組を進めたことによる副次的効果としては、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」(35.9%)の割合が最も高く、次いで「管理職の意識の変化によって職場環境が変わる」(32.4%)が高かった。

○ ハラスメント予防・解決のための取組を進める上での課題については、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」の回答率が最も高かった。

 

<労働者等調査結果のまとめ>

○ 過去 3 年間に、パワハラ、セクハラおよび顧客等からの著しい迷惑行為を一度以上経験した者の割合は、それぞれ 31.4%、10.2%、15.0%であった。

○ 過去 5 年間に、女性の妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、妊娠・出産等に関する否定的な言動(いわゆるプレマタハラ)、男性の育児休業等ハラスメントを一度以上経験した者の割合は、それぞれ 26.3%、17.1%、26.2%であった。

○ 2017~2019 年度卒業で就職活動(転職を除く)を経験した男女の中で、就活等セクハラを一度以上受けたと回答した者の割合は、25.5%であった。

○ パワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為の経験有無・頻度を回答者による勤務先の取組評価(勤務先における各種ハラスメントの予防・解決に向けた取組の評価)別にみると、全てのハラスメントにおいて、勤務先が「積極的に取り組んでいる」と評価した者でハラスメントの経験割合が最も低く、「あまり取り組んでいない」と評価した者で最も高かった。

○ ハラスメントを知った後の勤務先の対応としては、パワハラでは「特に何もしなかった」(47.1%)、セクハラでは「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」(34.6%)、顧客等からの著しい迷惑行為では、「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」(48.6%)の割合が最も高かった。

○ 勤務先によるパワハラ、セクハラ行為の認定については、「ハラスメントがあったともなかったとも判断せずあいまいなままだった」(パワハラ 59.3%、セクハラ 40.2%)の割合が最も高かった。

○ ハラスメントの経験者と未経験者とで職場の特徴の回答を比較すると、パワハラでは、「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」、「ハラスメント防止規定が制定されていない」、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」、「従業員間に冗談、おどかし、からかいが日常的に見られる」等の項目で、経験者の回答割合が未経験者より高く、その差が大きかった。同様にセクハラでは、「ハラスメント防止規定が制定されていない」、「従業員間の競争が激しい/個人業績との評価の連動が徹底している」、「従業員間に冗談、おどかし、からかいが日常的に見られる」等、顧客等からの著しい迷惑行為では、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」、「従業員間の競争が激しい/個人業績との評価の連動が徹底している」、「従業員間に冗談、おどかし、からかいが日常的に見られる」等の項目で、経験者の回答割合が未経験者より高く、その差が大きかった。

○ 妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの経験者と未経験者とで職場の特徴の回答を比較すると、「女性の育児休業取得に否定的な人が多い」、「ハラスメント防止規定が制定されていない」、「子育てをしている従業員がいない/少ない」などにおいて、経験者の方が未経験者より回答割合が高く、その差が大きかった。また、育児休業等ハラスメントの経験者と未経験者とで職場の特徴の回答を比較すると、「女性従業員は妊娠したら退職する傾向がある」、「男女問わず育児休業を取得後、復職せず退職する傾向がある」、「子育てをしている従業員がいない/少ない」、「男性の育児参画に否定的な人が多い」などにおいて、経験者の方が未経験者より回答割合が高く、その差が大きかった。

○ 勤務先が予防・解決のための取組を行っているハラスメントの種類としては、パワハラが39.2%で最も高く、次いでセクハラが 36.2%、妊娠・出産・育児休業・介護休業等ハラスメントが 22.6%であった。

○ 勤務先がハラスメントの予防・解決のための取組を「積極的に取り組んでいる」と回答した者の方が、「あなた自身の働きやすさ」と「同じ職場の他の人の働きやすさ」が「改善された」の割合が高く、「あまり取り組んでいない」と回答した者では「悪化している」の割合が高かった。

 

詳細は下記サイトよりご参照ください。

■「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表します -厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18384.html?fbclid=IwAR0w3082j0djvsXqPC2l870YbVIoJIw_ZW6Q6d46wM5JJNRJyJRylO8DHk0