新型コロナウイルス感染症拡大下でのテレワークと就業者の実態に関する研究(「第 4 回テレワークに関する就業者実態調査」速報)

 

(プレスリリースより抜粋して掲載)

慶應義塾大学経済学部の大久保敏弘教授は、新型コロナ感染症拡大の下での国内におけるテレワークと就業者の労働や生活、意識に関する大規模調査を、感染拡大当初の 2020 年 4 月より定期的に行ってきました。就業者 1 万人に対しての大規模全国調査で、NIRA 総研との共同研究による「テレワークに関する就業者実態調査」の第 4 回目の調査となります。

 

全国の就業者の内、テレワークを利用していた人の割合は、2021 年 4 月 1 週目時点で 16%でした。新型コロナウイルス感染拡大前の 2020 年 1 月ではわずか 6%でしたが、3 月では 10%、1 回目の緊急事態宣言が出されていた 4~5 月は 25%まで大幅に上昇しました。緊急事態宣言の解除後の 6 月時点では 17%に低下し、その後、9 月で 17%、12 月で 16%と、6 月と同水準で推移しました。2 回目の緊急事態宣言が出された 2021 年 1~2 月は 18%と、12 月時点から若干上昇し、3 月以降も同水準で推移しています。

また、東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)のテレワーク利用率(居住地ベース)は、2021 年 4 月 1 週目時点で 28%となり、全国平均と比較して 12%ポイント高い水準です。全国平均との差は、2020 年 6 月以降は安定的に推移しています。1 回目の緊急事態宣言でテレワークの利用が急速に広まり、その後、揺り戻しはみられましたが、新型コロナウイルス感染拡大前と比べると、ある程度テレワークが定着してきているといえます。一方で、2 回目の緊急事態宣言時には利用率が伸びず、「頭打ち状態」になっていると考えられます。

 

テレワーク利用率は業種や所得階層にも大きな差があります。

業種別では、2021 年 4 月 1 週目時点で高い順に、「通信情報業」46%、「情報サービス・調査業」45%、「金融・保険業」26%、「製造業」23%となりました。他方、低い方をみると、「運輸業」8%、最も低いのは「医療・福祉」、「飲食業、宿泊業」でともに 4%でした。

所得階層別では、2021 年 4 月 1 週目時点で、年収 300 万円未満の所得階層のテレワーク利用率は 10%を下回る一方で、年収 800 万円以上では 30%を上回り、大きな差が生じていることが分かりました。これらのテレワーク利用率の差は、新型コロナウイルス感染拡大前の 2020 年1 月よりも拡大していることが分かりました。

出社頻度は緊急事態宣言が出されると低下し、解除されると増加する傾向が確認されました。2021年 4 月時点で、出社頻度が週 5 日以上の割合は 64%、週 2~4 日が 28%、週 1 日以下が 7%となりました。

また、テレワーク利用者の利用頻度は、2020 年 9 月以降、緩やかに増加しています。2021 年 4 月1 週目で、テレワークの頻度が週 5 日以上の割合は 23%、週 2~4 日が 56%、週 1 日以下が 21%となりました。

 

その他詳細は下記サイトよりご参照ください。

 

■新型コロナウイルス感染症拡大下でのテレワークと就業者の実態に関する研究(「第 4 回テレワークに関する就業者実態調査」速報) -慶應義塾大学

https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2021/5/7/210507-1.pdf

■NIRA総研 第4回テレワークに関する就業者実態調査(速報)

https://www.nira.or.jp/outgoing/report/entry/n210506_1012.html