7月23日、内閣府は「令和元年度年次経済財政報告(経済財政白書)-「令和」新時代の日本経済-」を公表した。

第2章では「 労働市場の多様化とその課題」をテーマにして、下記の点を述べている。今後の人事施策の検討に参考になる。

 

 多様な人材が働ける環境を整備することは、雇用者の観点からは、働く意欲のある女性や高齢者の活躍を促すとともに、価値観の多様化に対応するために重要。
 多くの企業において、女性、高齢者、外国人、障害者等の多様な人材の活躍が進んでいる。多様な人材の活躍が進む背景として、企業側の観点からは、人手不足が深刻になっているとともに、新しい発想や専門的知識を持った人材等が求められていることがあるが、労務管理の複雑化などに対する懸念もみられる。

 企業による多様な人材の活躍を推進するためには、柔軟な働き方やワーク・ライフ・バランスの改善等の働き方を変革すること、長期雇用と年功序列等を特徴とする日本的な雇用慣行を見直すこと、職場において管理職が適切にマネジメントを行うこと等が特に重要である。
 多様な人材がいる職場で働く際に雇用者が必要と思う制度として、柔軟に働ける制度、仕事範囲の明確化等を求める声が多く、企業側でも必要と考えられる改革とおおむね一致。
 多様な人材の活躍には、新卒の通年採用の導入等、企業における採用制度の見直しも求められる。

 65歳以上の雇用者の活躍については、定年年齢や継続雇用制度のあり方についての見直しが必要。特に、賃金の大幅低下や長い労働時間は高齢者の就業に対する意欲を大きく低下させる可能性が高い。
 企業側としても、高い専門性を持つ者、健康で働く意欲が高い者等は65歳以降も雇用したいと考えている。また、必要な取組として、柔軟な働き方、職務の明確化、キャリアモデルの再構築等を挙げる企業が多い。

 多様な人材の増加は、生産性の向上、人手不足の解消等の効果が期待できる。ただし、多様な人材の活躍に向けた取組とセットで行うことが非常に重要であり、多様な人材はいるが、それに対応した取組を行っていない企業は、多様な人材がいない企業よりも生産性が低くなる可能性。
 高齢者の増加については、他の世代から人手不足の緩和や助言が得られるといった評価する声がある一方、賃金や昇進に影響があるとの指摘もある。ただし、分析結果をみると、高齢層の増加が若年層の賃金や雇用(採用)を抑制するとの関係性は確認されない。
 全体として雇用者が伸びる中で外国人労働者も増加している。

 

詳細は下記サイトをご参照ください。

 

■令和元年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)-「令和」新時代の⽇本経済-【説明資料】

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/0723wp-keizai/setsumei00.pdf

■全文

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je19/index_pdf.html