6月13日、「第9回賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」が開催され、論点整理案が公表された。
その中で、賃金請求権の消滅時効期間は2年超へ見直し、年次有給休暇請求権の消滅時効期間は現状維持の方針とされた。
◎賃金請求権の消滅時効期間の在り方について(論点整理案 p10)
現行の労基法上の賃金請求権の消滅時効期間を将来にわたり2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要ではないかと考えられる。
なお、この検討会の議論の中では、例えば、改正民法の契約上の債権と同様に、賃金請求権の消滅時効期間を5年(※)にしてはどうかとの意見も見られたが、この検討会でヒアリングを行った際の労使の意見に隔たりが大きい現状も踏まえ、また、消滅時効規定が労使関係における早期の法的安定性の役割を果たしていることや、大量かつ定期的に発生するといった賃金債権の特殊性に加え、労働時間管理の実態やその在り方、仮に消滅時効期間を見直す場合の企業における影響やコストについても留意し、具体的な消滅時効期間については速やかに労働政策審議会で検討し、労使の議論を踏まえて一定の結論を出すべきである。
◎年次有給休暇請求権の消滅時効期間の在り方について(論点整理案 p11)
年次有給休暇に関しては、そもそも年休権が発生した年の中で取得することが想定されている仕組みであり、未取得分の翌年への繰越しは制度趣旨に鑑みると本来であれば例外的なものである。仮に賃金請求権の消滅時効期間と合わせてこの年次有給休暇請求権の消滅時効期間も現行よりも長くした場合、こうした制度の趣旨の方向と合致せず、年次有給休暇の取得率の向上という政策の方向性に逆行するおそれもある。この検討会での議論やヒアリング等においては、以上を踏まえると必ずしも賃金請求権と同様の取扱いを行う必要性がないとの考え方で概ね意見の一致がみられるところである。
詳細は下記サイトをご参照ください。
■「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」論点の整理(案)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000504533.pdf
■消滅時効の在り方に関する検討の参考資料