厚生労働省の「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」は、この度報告書をまとめて公開しました。

その中では、「対象となる解雇・雇止め」として、無期労働契約における無効な解雇(禁止解雇を含む)と、有期労働契約における無効な契約期間中の解雇(禁止解雇を含む)及び労働契約法19条に該当する雇止めを対象とすることが考えられるとしました。

また「権利行使の方法」として、 権利行使の方法は訴えの提起及び労働審判の申立てに限ることが考えられるとしています。


「各請求との関係について」として、労働契約解消金は、バックペイ、不法行為による損害賠償、退職手当の各債権とは別個のものと整理し得るため、それぞれの請求や地位確認請求と併合して訴え提起等をすることができるほか、バックペイについては、解雇から労働契約解消金支払時まで発生すると解することが原則であり、1回の訴訟で認められる範囲については一般的にみられる判決確定時までとの判断を変更する特段の規定を設ける必要はないと考えられるとしました。


「労働契約解消金の算定方法・考慮要素について」は、算定方法については、予見可能性を高めるために一定の算定式を設けることを検討する必要がある一方で、個別性を反映するために個別事情を考慮するとすることも考えられるとしました。

考慮要素については、定型的なものである給与額、勤続年数、年齢、ある程度定型的な算定をし得るものである合理的な再就職期間、評価的なものである解雇に係る労働者側の事情、解雇の不当性、といったものが考えられるとしました。

算定方法や考慮要素の検討に当たっては、労働契約解消金の定義や、労働契約解消金によって補償すべきもの(契約終了後の将来得べかりし賃金等の財産的価値のほか、当該職場でのキャリアや人間関係等の現在の地位に在ること自体の非財産的価値も含まれると考えることもできる。)は何かといった点と相互に関連させた上で、政策的に判断すべきとしています。

「労働契約解消金の上限・下限について」は、労働契約解消金の算定に当たっての上下限につき、法技術的には様々な設定方法が考えられるが、設定の有無及びその具体的な内容については、政策的に判断すべきとしています。

「労使合意による別段の定めについて」は、事前の集団的労使合意によって労働契約解消金の算定方法に企業独自の定めを置くことを認めるかについては、政策的に判断すべきとしています。

今後、報告書を検討し法律にしていくかどうか議論されていくことになると思われます。

上記の他、詳細は下記よりご参照ください。

(報告書概要)

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000925383.pdf

(報告書)

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000925384.pdf

(出所)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25037.html