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2018.12.17                Since 2011

~ 転ばぬ先の労務管理メルマガ ~

淀川労務協会  “実録”  労務 虎の巻  第68号

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Point1.『関西最大級の規模』

Point2.『業界最高水準の解決力』

Point3.『55年の実績と信頼 ~労務に一途~』

“本当の人事労務問題解決力”を貴社に提供する労務管理のリーディングオ
フィス

― 社会保険労務士法人 淀川労務協会 -  です。

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このメールマガジンでは、私どもがこれまで顧問サービスとしてご提供し
てきた人事・労務・社会保険等に関する事例や情報の中から、特に皆様に
知って頂きたい事例を厳選しご紹介させて頂いております。

――――目次―――――――――――――――――――――――――――

【ケースNo.130】 [退職] 退職代行業者(非弁護士)への使用者対応

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『退職代行』を名乗る業者から「貴社の従業員A氏から委任を受け本日よ
り14日経過した日をもってA氏が貴社を退職することを通知する」旨、電
話がありました。
このようなケースは初めてでありどのように対応すれば良いでしょうか?

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なんらかの理由で自ら退職届を提出することが難しい従業員から依頼をう
け、同従業員が本来為すべき使用者に対する退職の意思表示を代行するこ
とを業とする会社が出現するようになり、当協会の顧問先からも何件かこ
のようなご相談をお受けするようになりました。

ここで問題になるのは、

「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る
目的で(中略)、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、
又はこれらの周旋をすることを業とすることが出来ない」

という弁 護士法第72条です。

「退職意思の表示」は「法律上の効果を発生、変更する事項の処理や保
全、明確化する事項の処理である法律事務に該当するため弁護士法違反
(非弁行為)である」とする弁護士側の主張がある一方、「代理行為では
なく単なる使者に過ぎないから問題ない」とするのが業者側の主張のよう
です。

非弁行為に関する判例を読めば業者側の主張は分が悪いだろうなという感
はありますが、どちらの主張に正当性があるかは今後の司法に委ねるとし
て現時点で企業がこの問題をどう取り扱うべきかについて考えます。

現時点で重要なことは、「弁護士法72条に違反することにより民法の無
効原因に該当することとなった場合、依頼者と代行業者との契約が無効と
される可能性がある」という事実です。

「無効」は、法律行為の効力(つまり退職代行)が当初から否定されるこ
とを意味します。

つまり、弁護士や弁護士法人でない退職代行業者から通知があった場合に
は、まずは正当な受任者であることを確認するために受任通知書(委任
状)と当該労働者の本人確認書(免許証コピー等)等の提出を求めた上
で、「貴社が弊社従業員の正当な受任者であるとしても、貴社による退職
通知は弁護士法72条に違反し無効とされる可能性が否定できない。よっ
て、貴社の通知を受けて弊社がこれをどう取り扱うかは貴社にお示しする
義務はないし、弊社が当該従業員に直接確認するまでは正当な退職の意思
表示として取り扱わないとすることも十分にあり得る。尚、貴社に代理権
はないため退職に関する協議には応じないし、弊社が当該従業員に直接退
職確認することを阻止する権利は貴社にはない。」とだけ伝えるにとど
め、それ以上は当該業者とは一切取り合わないことでしょう。

その後の当該従業員の退職をどう取り扱うかについてはケースバイケース
で、退職することに何ら支障が無いのであれば確認のための本人が希望す
る日を退職日とした退職届を送付して署名・押印した上での返送を求める
のもよいでしょうし、本人の希望通りの日付での退職を認めた場合に会社
が重大な損害を被る恐れがあるようなケースであれば、業者による退職通
知は無効とする対応が必要となることもときにはあるでしょう。

ここは是非、我々に都度ご相談頂ければと思います。

依頼者たる従業員も注意が必要で、当該業者は「通知した」という事実を
もって報酬を得るのでしょうが、仮にこの通知が無効であるとされた場合
に当該業者から速やかに報酬の返戻を受けられない可能性があります。

争うことを避けるために代行業者に依頼したのに、その依頼そのもので争
いが起こるのとなればやぶ蛇です。

いずれにせよ、いまの形では長くは続かない商売だろうな・・・という
のが実感です。

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☆本件についてのお問い合わせは淀川労務協会コンサルティング業務部
門までお願いします。
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