業務部の村崎です。

 昨日、労働者派遣法改正についての労働政策審議会の最終案がまとまり、厚生労働大臣に建議を行いました。今国会に法案が提出され、平成27年4月1日から施行される予定になっていますので、その概要をご紹介します。

 
 今回の改正では、①「専門26業務」の区分を廃止し、派遣元と無期の労働契約した労働者は派遣先で期限無く働け、有期の契約を結んだ人は最長3年働ける。②派遣期間は業務で判断せず人ごとに判断するため、派遣労働者を入れ替えれば同じ業務でも派遣の継続が可能となる。③3年毎の切替時に労使でチェックを行い、労働組合等過半数代表者から意見を聞く。④派遣元事業主は、派遣期間の上限に達する派遣労働者に対し、派遣先事業主への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供、派遣元事業主において無期雇用などの措置を講ずる。⑤特定派遣と一般派遣の区別を撤廃し、すべての労働者派遣業を許可制とする、というような内容が盛り込まれています。

 派遣労働者の保護にも配慮しているとはいえ、どちらかといえば派遣受け入れ企業にとってより派遣労働者を活用しやすい法改正となっています。労働市場の流動化促進を重視する現政権の政策に沿った内容といえるでしょう。また、人材派遣会社にとっては、すべてが許可制となり、保有資産の基準(予定では2000万円)等も厳しくなるため、現在でも経営状況の厳しい中小の派遣会社は淘汰されてゆく可能性が高くなります。改正法が施行される予定の平成27年4月以降、更新ができない企業も出てくるものと思われます。

 政権が変わる度に、派遣法の改正が議論されていますが、今回の改正では登録型派遣や製造派遣は、「経済活動や雇用に大きな影響が生じるおそれがある」との理由で禁止されない方向となっています。報告書の基本的な考え方に謳われている「労働者派遣事業が労働力の需給調整において重要な役割を果たしている」ことに重点を置いた規制緩和を目的とした法改正と言えます。