業務部の村崎です。

先ごろ、国土交通省より「建設業における社会保険未加入問題」についての対策が発表され、建設関係の企業より問い合わせが増えてきました。元請となる企業は、下請への指導について、主に下請で仕事をされている専門工事の会社からは、社会保険への加入手続きや保険料等についての質問が多く寄せられています。

今回策定された対策は、①技能労働者の処遇の向上、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保、②法定福利費を適正に負担する企業による公平で健全な競争環境の構築を目的として、法的に加入義務のある企業を5年以内に100%加入させるため、行政、業界団体、元請企業等を中心にして計画的に加入を促進していくというものです。

未加入企業は、元請会社や行政から指導を受けて加入せざるを得なくなるような施策となっていますが、最も厳しいチェック・指導は、①建設業許可関係の申請時に保険加入状況を確認し、未加入企業の指導を行う、また経営事項審査における未加入による減点幅の拡大、②元請企業による下請指導として、施工体制台帳、作業員名簿等で保険加入状況を把握し未加入企業を指導する、未加入企業との請負契約締結の抑止、という点です。

許可関係については、更新の際などに加入すべき会社かどうか確認され、新規申請会社については、強制適用事業所であれば、社会保険に加入してから申請をするように指導されます。また、経営事項審査では、未加入は雇用保険、健康保険、厚生年金保険それぞれ30点の減点となります。健康保険と厚生年金保険はセットですから、併せて60点の減点となります。

元請会社からのチェックについては、すでに大手を中心に始まっており、未加入下請企業を集めた説明会も開催されているようです。これからは、施工体制台帳へ加入状況を記入する欄もできますので、社会保険の強制適用事業所(雇用保険は従業員1人でも強制、健康保険・厚生年金は、法人は社長一人でも強制、個人は従業員5人以上で強制)でありながら未加入の企業は、仕事を受注できないという事態も出てくるものと思われます。

国土交通省がいうところの社会保険とは、労働保険(労災保険、雇用保険)、健康保険・厚生年金保険ですが、今回重点を置かれているのは健康保険・厚生年金の未加入問題です。 健康保険・厚生年金は保険料も大きいので、企業は負担を軽減するため加入を嫌がられ、働いている職人さんも手取額が減るので加入されないというのが多いのは事実ですが、最近では、受注単価が下がってしまい、健康保険・厚生年金保険の保険料が支払えるほど売り上げがないという企業も増えています。人件費の13%位の保険料は、零細な企業にとってはわずかばかりの利益と同程度というところも少なくありません。そのため、強制だからと加入したけれど、保険料が払えないという企業もかなり出てくるのではないかと思われます。加入促進によって、加入率は高まったけれど、保険料の滞納も大幅に増えたという結果は十分考えられます。そのため、重点施策として発注者・元請企業へ「法定福利費の確保」をするよう指導していくことになっていますが、未加入問題の改善のカギは、実はこの点にあるのではないかと思います。