個人情報保護委員会は、9月1日に「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」を改正し公表しました。

5月12日に成立したデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の改正法の中で、従業員本人の同意があった場合における転職時等の使用者間での特定個人情報の提供を可能としています。

改正ガイドラインより抜粋し、下記に転載致します。

 

■使用者等から他の使用者等に対する従業者等に関する特定個人情報の提供(第4号)

従業者等(従業者、法人の業務を執行する役員又は国若しくは地方公共団体の公務員をいう。以下本号において同じ。)の出向・転籍・退職等があった場合において、当該従業者等の同意があるときは、出向・転籍・退職等前の使用者等(使用者、法人又は国若しくは地方公共団体をいう。以下本号において同じ。)から出向・転籍・再就職等先の使用者等に対して、その個人番号関係事務を処理するために必要な限度で、当該従業者等の個人番号を含む特定個人情報を提供することができる。

本号に基づく特定個人情報の提供は、従業者等の出向・転籍・退職等があった場合に、当該従業者等の同意を得た上で、行われるものである。そのため、出向・転籍・退職等前の使用者等は、当該従業者等の出向・転籍・再就職等先の決定以後に、個人番号を含む特定個人情報の具体的な提供先を明らかにした上で、当該従業者等から同意を取得することが必要となる。
なお、本号により特定個人情報の提供を受けた使用者等は、番号法第16条に基づく本人確認は不要である。

* 本号に基づき提供が認められる特定個人情報の範囲は、社会保障、税分野に係る健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届、給与支払報告書や支払調書の提出など、出向・転籍・再就職等先の使用者等が「その個人番号関係事務を処理するために必要な限度」に限定される。

例えば、従業者等の氏名、住所、生年月日等や前職の給与額等については、これらの社会保障、税分野に係る届出、提出等に必要な情報であることが想定されるため、本号に基づく提供が認められる。一方、個別の事案ごとに、具体的に判断されることになるが、前職の離職理由等の、当該届出、提出等に必要な情報であるとは想定されない情報については、本号に基づく提供は認められないと解される。

 

* 「従業者等の同意を得」るとは、従業者等の承諾する旨の意思表示を使用者等が認識することをいい、特定個人情報の取扱状況に応じ、従業者等が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法によらなければならない。

具体的には、どのような特定個人情報が出向・転籍・再就職等先の使用者等に対して提供されることになるのか、従業者等が認識した上で、同意に係る判断を行うことができるよう、出向・転籍・退職等前の使用者等は留意する必要がある。

従業者等からの同意の取得については、従業者等からの同意する旨の口頭による意思表示のほか、従業者等からの同意する旨の書面(電磁的記録を含む。)の受領、従業者等からの同意する旨のメールの受信、従業者等による同意する旨の確認欄へのチェック、従業者等による同意する旨のウェブ上のボタンのクリック、従業者等による同意する旨のタッチパネルへのタッチ、ボタン等による入力等によることが考えられる。

詳細は下記サイトをご参照ください。

 

■特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン

https://www.ppc.go.jp/legal/policy/

■デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案の概要

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/seibihouan_gaiyou.pdf

(参考)特定個人情報を取り扱う際の注意ポイント ~ヒヤリハット事例集・漏えい等事案の事例集

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/cautionary_points.pdf