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2011.1.27                       Since 2011

~ 転ばぬ先の労務管理メルマガ ~

淀川労務協会  “実録”  労務 虎の巻  第8号

毎月1回配信
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このメールマガジンでは、私どもがこれまで顧問サービスとしてご提供してきた人
事・労務・社会保険等に関する事例や情報の中から、特に皆様に知って頂きたい事
例を毎回2ケース厳選しご紹介させて頂いております。

――――目次―――――――――――――――――――――――――――

【ケースNo.15】 [第三者行為災害] 第三者からの偶発的な加害行為における労災

【ケースNo.16】 [研修費返還請求] 海外研修後にすぐに退職してしまう社員

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【ケースNo.15】

当社はスーパーマーケットを事業運営していますが、先日パート社員が通用口から外へ
出ようとした際、外から入場しようとした納入業者がドアを開けたために、ドアで頭部
を強打して負傷しました。
幸い負傷の程度は軽かったのですが、この場合労災保険を使うと「第三者行為災害」
となるのでしょうか。以前、搬入場所で運送会社のトラックがバックしたときに、後ろに
いた社員の体に当って転倒したことがあり、このような届を出したことがあるのですが。

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ご質問のケースは、確かに災害の形態としては「第三者行為災害」に当ります。
労災保険では、誰か他人の行為により被災した労災事故を「第三者行為災害」と呼んで
います。第三者とは、労災保険の当事者である政府、事業主、受給権者以外の者という
意味です。第三者の行為により災害が発生した場合は、被災者には加害者である第三者
に対して損害賠償を請求する権利が発生し、それと同時に労災保険の治療費等各種給付
受ける権利も発生するため、両方の請求権を調整するために「第三者行為災害届」の提
出を求め、民事賠償と労災保険給付の調整図られることになります。

調整の方法は大きく二通りに分かれます。まず、被災者が先に損害賠償を受けたとき
は、その価額の限度において労災保険給付は支給されません(これを「控除」と呼びま
す)。逆に、先に労災保険給付を受けると、労災保険(政府)は、被災者が持つ損害賠償
請求権を、支給された労災保険給付の限度内で取得し、過失割合に応じて第三者に請求
をします(これを「求償」と呼びます)。このような調整によって、民事賠償と労災保険
給付が重複しない、二重取りを防ぐ仕組みとなっています。

さて、ご質問のケースですが、ポイントは運送会社の運転手に不法行為があったかど
うかということになります。運転手が、通常の手続きを経て入場するためにドアを開け
たのであれば、その前に立っていたパート社員にドアが当たったからといって不法行為
とは言えないでしょう。不法行為であれば、被災者であるパート社員に民事賠償請求権
が発生するため、「第三者行為災害届」の提出を求められますが、今回のケースは「第三
者行為災害」としては扱われないと思います。但し、不法行為が認められないような災
害であっても、治療費や休業補償などの一部として金銭の授受が発生すると、民事賠償
を受けたものと判断されるため、「第三者行為災害」として取り扱われますので、注意し
てください。

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【ケースNo.16】

当社では社内審査に合格した幹部候補生の中で特別に希望する者に対して、
半年間の海外研修に派遣し費用を弊社が負担しています。
ところが困ったことにヘッドハンティングされるなど、帰国後すぐに離職する者が
続出しています。何か対策はありませんでしょうか?

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このようなケースへの対策としてまず思い浮かぶのが「違約金」の定めであろうかと
思いますが、労働基準法16条では債務不履行に対する賠償額を予め定めておく
ことが禁止されていることから、この法律への抵触を避けるために「違約金」ではなく
研修費用の「貸与」という形をとるのが一般的です。
(※ 帰国後、一定期間勤務した場合には返還免除)

但し、研修の実態が使用者として当然なすべき性質のもの(ご相談の例でいえば、
幹部候補生のほとんどが海外研修に参加、もしくは実際に幹部登用される者の
ほとんどが海外研修を履修している、等)である場合にはそれに支出された研修費用
の返還を求めることには合理性が無いとされる諸判例もあります。

以上を踏まえ、海外研修に業務上の必然性が一部認められるような場合には
返還額を全額ではなく一部とするなど、実態に促した対策を講ずることをお勧め致します。

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☆本件についてのお問い合わせは淀川労務協会コンサルティング業務部門までお願いします。
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