業務部の三浦です。

 2014年の春闘(春季生活闘争)が本日集中回答日を迎え、昨年とは様相が一転し過去最高水準のベア回答が相次いでいるようです。
円安株高を背景にこれまで何年も据え置かれた反動が生じているように思います。

 その一方で、1月の国際経常収支は単月過去最悪の1兆5890億の大赤字となり、これで初めて4カ月連続の赤字を記録したことになります。

 年間でまだ黒字は維持していますが、経常黒字額は震災前10年と比較すれば5分の1と縮小しており、近い未来の年間赤字転落も現実味が帯びてきました。

 2月14日の記者クラブ会見で、渡辺国際協力銀行総裁は、「2月まで赤字が続くようだと経常黒字(国)という(日本の)根源的な強さがひっくり返るかもしれない。体質が変わったという認定を(市場が)する可能性がある」と語っており、消費税増税を控え予断を許さない状況です。

 通常、経常収支が悪化すると利上げ、内需抑制と転化しやすいのですが、ご承知のとおり黒田日銀総裁の異次元緩和により金利が抑制されています。
しかし、これもいつまでも継続することはできず、いずれは引き締め(テーパリング)なければならない時が必ず来ます。

 経済成長と物価高がバランス良く推移すればよいのですが、物価高に経済成長が追い付かなければスタグフレーションという最悪の状況に発展することもあるかもしれません。

 年末の挨拶周りで多くの中小企業をご訪問させて頂きましたが、景気が良くなっているのは大企業だけで中小企業はまだまだという意見が大多数でした。

 消費増税を迎え各交通機関は運賃の改定、自動販売機は10円値上げ、吉野家は牛丼20円値上げを発表し、庶民にとってはしばらく厳しい期間が続きそうです。

 手遅れという意見もあるアベノミクスですが、これまで問題を先送りにしてきた政府とは違い勇気をもってアクションを起こしている安部首相。
エコノミストの批判はあくまで理屈であって、経済を理屈で完全に支配することは出来ません。
振ったサイコロがどちらに転ぶかは、結局、我々国民1人1人がどれだけ信じて頑張れるかにかかっているのではないでしょうか。