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2018.6.29 Since 2011_x000D_
~ 転ばぬ先の労務管理メルマガ ~
淀川労務協会 “実録” 労務 虎の巻 第64号
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― 社会保険労務士法人 淀川労務協会 - です。
このメールマガジンでは、私どもがこれまで顧問サービスとしてご提供し
てきた人事・労務・社会保険等に関する事例や情報の中から、特に皆様に
知って頂きたい事例を厳選しご紹介させて頂いております。
――――目次―――――――――――――――――――――――――――
【ケースNo.128】 [非常時対応] 天災時の労務対応(詳解)~台風・地震・豪雨~
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先日の大阪北部地震で、平常どおり勤務出来た者や出社出来なかった者、
遅れて出社した者、交通状況を考えて早退させた者など弊社内で様々な
ケースが発生しました。
このような天災時に勤怠管理やそれに伴う賃金の支払いに関し、どのよ
うに取り扱うべきなのでしょうか?
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天災と休業手当の関係については以前に当メルマガ(vol28「公共交通機関
の障害と休業手当の関係」)にて取り上げさせて頂きましたが、もう少し
掘り下げてこの問題について解説させて頂きます。
まず、始業時間に合わせて債務の本旨に従った労務を提供するために労働
者が職場に出向くことについて、その責任と負担はあくまで労働者本人に
課せられています。
通勤は業務と密接な関係にあるものの、通勤交通費の支払い義務が使用者
に課せられていないことや、通勤途上は使用者の指揮命令下にないため、
原則的には使用者責任や運行供用者責任、安全配慮責任が課せられていな
いことからもこの前提がご理解頂けると思います。
これを踏まえて類型別にご説明致します。
1) 始業時間前に公共交通機関が停止し終日休業となる場合
天災が原因で交通が麻痺したために出勤できず休業した場合、それは外部
的要因であり、一般的には不可抗力によるものと考えられることから、使
用者の責に帰すべき事由には該当せず、かつ、使用者の経営管理上の責任
ともいえないことから休業手当の支払い義務は生じないものとされていま
す。
つまり勤怠管理上は「欠勤」とし、使用者に賃金の支払い義務は課せられ
ません。
尚、勤怠評価としては「不問」とすることが一般的でしょう。(通信障害
により連絡がつかない場合には無届欠勤ともしない)
2) 公共交通機関の支障が影響で遅刻した場合
天災が原因で交通が麻痺したために出勤が遅れた場合には、不就労時間に
ついては1)と同様に無給として取り扱い、出勤時間分に相当する賃金を
支払うことになります。
勤怠管理は「遅刻」、勤怠評価は「不問」とするべきでしょう。
3)就業時間中に公共交通機関に影響出始めたため早退して帰宅するこ
ととなった場合
公共交通機関に影響が出始めたとして従業員の安全確保のために使用者が
早退を指示(事実上の指示を含む)した場合、それが通勤への影響だけで
あり、業務遂行そのものには支障が生じていないような場合には、休業手
当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要でしょう。
このように1日のうち一部を休業した場合の取扱いについては解釈例規に
おいて「1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による
休業が為された場合にも、その日については平均賃金の100分の60に相当
する金額を支払わなければならないから、現実に就労した時間に対して支
払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合に
は、その差額を支払わなければならない」(昭27.8.7 基収3455)とされ
ています。
但し、公共交通機関の混乱予想に合理性が無い場合には民法536条2項に
よる賃金全額支払いが求められることも有り得ますので正確な情報に基づ
く合理的判断が求められます。
勤怠管理は「指示早退」、勤怠評価は「不問」とするべきでしょう。
一方、交通障害が心配だからとして労働者側から積極的に早退したい旨を
使用者に働きかけ、使用者がこれを認めた場合については、基本的には休
業手当の支払い義務はないと考えてよいと思います。つまり、早退時間に
相当する賃金を減額することも可能でしょう。
勤怠管理は「早退」、勤怠評価については難しいところですが、早退する
のも止むを得ないだけの交通状況にあるのであれば「不問」 そうでない
のであれば、マイナス評価とすることも有り得ると思われます。
但し、休業手当の支払いを回避したいからとして交通障害が確実であるに
もかかわらず従業員側からの働きかけを待つという姿勢は使用者としてあ
るべき姿とは言えませんから、このような場合には従業員の安全を確保す
るために使用者側から積極的に早退を働きかけるべきでしょう。
4)法律以上の賃金保障について
全員休業や全員遅刻、全員早退であれば法律以上の賃金保障を行うか否か
は各社の考え方に従えば良いと思います。
しかし、出勤状況にバラつきがある場合に、例えば全員を対象に出勤した
ものとして賃金を満額支給とすることなどについては少々慎重な判断が必
要かと思われます。
職務によっては危険な状況であっても公共のために無理を承知で出勤しな
ければならないこともありますから、当該労働者に対しては別途、有給の
特別休暇を付与するなどして公平性を確保しなければならないこともある
でしょう。
また、天災による不就労時間に対して正社員には有給の特別休暇を付与
し、非正規労働者に対しては付与しないという取り扱いについても、原
因・事情は同じであるにも関わらず正社員であることのみを理由として特
別手当を支給していることに相当しますから、同一労働同一賃金(労契法
20条)の適用において不合理とされる可能性が高く注意が必要です。
5) 有給休暇の権利行使について
有給休暇は使用者が時季変更権を行使する余地を確保するために少なくと
も前日までには意思表示(つまり申請)しなければならないと解されてい
ます。
つまり当然には有給休暇の事後申請を認める必要はありません。
ただし、天災のようにやむを得ない事情にあっては、使用者にはこれを積
極的に認めることが求められるでしょう。
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☆本件についてのお問い合わせは淀川労務協会コンサルティング業務部_x000D_
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