12月2日に開催された、第136回社会保障審議会医療保険部会の資料が公開され、本来の趣旨と異なった取り方が問題になっている「育児休業中の保険料免除」制度なども含め、様々な点が議論されました。

下記に育児休業中の保険料免除の議論について掲載させて頂きます。

 

(育児休業中の保険料免除)

○ 育児休業中の社会保険料については、被保険者の経済的負担に配慮して、免除される仕組みが設けられており、その免除期間については、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間とされている。

○ 育児休業制度については、少子化社会対策大綱(令和2年5月 29 日閣議決定)において「柔軟な取得を可能とするための分割取得の拡充を検討するとともに、配偶者の出産直後の時期を中心に、男性の休業を推進するための枠組みについて、取得しやすい手続や休業中の給付などの経済的支援等を組み合わせることを含めて検討する」とされていることなどを受け、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、男性の休業の取得をより進めるため、特に子の出生直後の時期について、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい新たな仕組み(以下「新たな仕組み」という。)を創設すること等について検討が進められている。

○ 当部会においては、育児休業の取得促進や公平性の是正、事務負担の軽減といった観点から、現行制度を含め以下の課題について議論した。
① 新たな仕組みについて保険料免除の対象とすることの是非
② 月末時点で育児休業を取得している場合に当月の保険料が免除される一方、月途中に短期間の育児休業を取得した場合には、保険料が免除されないこと
③ 賞与保険料については、実際の賞与の支払に応じて保険料が賦課されているにも関わらず、免除されており、賞与月に育休の取得が多いといった偏りが生じている可能性があること

 

○ ①新たな仕組みについて、育休取得促進の観点から、保険料免除の対象とすべきである。
○ その上で、現行制度及び新たな仕組みに関し、以下の措置を講じるべきである。

・ ②月途中に短期間の育児休業を取得した場合に保険料が免除されないことへの対応として、育休開始日の属する月については、その月の末日が育休期間中である場合に加えて、その月中に2週間以上の育休を取得した場合にも保険料を免除すること。なお、その際には、同月内に取得した育児休業及び新たな仕組みによる休業等は通算して育休期間の算定に含めること
・ ③賞与保険料が免除されることを要因として、賞与月に育休の取得が多いといった偏りが生じている可能性があることへの対応として、育休が短期間であるほど、賞与保険料の免除を目的として育休取得月を選択する誘因が働きやすいため、連続して1ヶ月超の育休取得者に限り、賞与保険料の免除対象とすること

○ なお、これらの対応について、
・ 今後、育休による保険料免除がどう変化するか、企業の適切な運用の促進、データの報告体制も含めて、フォロー・検証を行うべき
・ 今回の見直しはここまでとしても、明確なスケジュール感をもって、適正化に向けた検討を行い、必要であれば対応をするべき
・ 月末要件を残すことについては、現行の標準報酬月額制度における限界であり、見直しの議論をするのであれば、標準報酬月額制度の在り方も含めて議論すべき
・ 中小企業の人手不足を鑑みると2週間、1ヶ月という育休取得期間は長すぎる
などの意見もあった。

 

その他、(傷病手当金の見直し) については、治療と仕事の両立の観点から、より柔軟な所得保障を行うことが可能となるよう、傷傷病手当金の支給期間を”通算して”1年6ヶ月を経過した時点まで支給する仕組みとすること。との記載もありその他にも様々な事柄について述べられています。

今後の政策の行方の参考になりますので、ぜひご参照ください。

 

■第136回社会保障審議会医療保険部会 令和2年12月2日 資料

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000700495.pdf