「知らない」では済まされない、「スポットワーク」の労務管理

① 労働契約締結時における注意点

◆誰と誰が労働契約を締結するのかを確認しましょう

スポットワークは、事業主とスポットワーカーが直接労働契約を締結することとなり、労働基準法等を守る義務は、労働契約を締結した事業主に生じます。
※スポットワーカーとスポットワーク仲介事業者が労働契約を結ぶものではありません。

① 労働契約締結時における注意点

◆労働契約の成立時期を確認しましょう

スポットワークでは、アプリを用いて、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募し、面接等を経ることなく、短時間にその求人と応募がマッチングすることが一般的です。
面接等を経ることなく先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立するものと一般的には考えられます。
なお、一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、労働条件の変更に該当し、事業主とスポットワーカー双方の合意が必要です。

◆労働契約成立後は労働基準法等を守りましょう

労働契約が成立すると、事業主には労働基準法等を守る義務が生じます。予定された就業開始前に労働条件を明示することなどが必要となります。
スポットワーカーに労働条件を明示しましょう。労働条件を明示しなかった場合には、労働基準法違反となります。
労働条件を書面の交付などの方法で明示することは事業主の義務であり、未然にトラブルを回避することにもつながります。
労働条件通知書の交付はスポットワーク仲介事業者が代行してくれる場合もありますが、交付は事業主の義務なので、きちんと交付されているか、その内容は適切か、事業主の皆さまは確実に確認しましょう。もしスポットワーク仲介事業者から交付されていない場合、事業主から交付してください。

② 休業させる場合の注意点

◆丸1日の休業または仕事の早上がりをさせることになった

労働契約成立後に事業主の都合で丸1日の休業または仕事の早上がりをさせることになった場合は、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」となるので、スポットワーカーに対し、所定支払日までに休業手当を支払う必要があります。

③ 賃金・労働時間に関する注意点

◆業務に必要な準備行為等も労働時間です

事業主の指示により、就業を命じた業務に必要な準備行為(指定の制服への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(掃除等)を就業先内において行った時間などは労働時間に当たります。求人の際に、これら着替え等の時間も含めて始業・終業時刻を設定しましょう。
予定した始業時刻より前に、事業主の指示により、就業を命じた業務に必要な準備行為(指定の制服への着替え等)などが発生した場合は、その時間を労働時間として取り扱ってください。

◆一方的な賃金の減額は違法です

賃金について、労働条件通知書などで示した額を一方的に減額したり、「別途支払う」としていた交通費などを支払わない場合には、労働基準法違反となります。

◆実際の労働時間を速やかに確認しましょう

④ その他の注意点

◆通勤途中または仕事中にケガをした場合

スポットワーカーが通勤の途中または仕事中にケガをした場合、スポットワーカーは就労先の事業について成立する保険関係に基づき労災保険給付を受けることができます。(労働者災害補償保険法第7条等)

◆労働災害防止対策も事業主の義務です

◆ハラスメント対策も事業主の義務です

令和7年12月1日をもって、健康保険証が使用できなくなります

令和7年12月2日以降、現在お持ちの健康保険証は使用できなくなります。
使用できなくなった健康保険証については、ご自身で廃棄してください。
※協会けんぽに返納する必要はありません。
令和7年12月2日以降は、マイナンバーカードに健康保険証を利用登録したマイナ保険証もしくは協会けんぽから送付されている資格確認書を提示して医療機関をご受診ください。

※記載の内容は協会けんぽの取扱いであり、各健康保険組合により一部異なる取扱いがございますので、組合管掌にご加入の事業所様に関しましてはご留意ください。

賞与に対する保険料の計算方法について ~届出は支給の有無に関わらず必要です

(1) 社会保険料(協会けんぽ・厚生年金保険の場合)の計算方法(本人負担分)

被保険者それぞれの総支給額の1,000円未満を切り捨てた額に、健康保険(※大阪府の場合)5.12%
(介護保険該当者は5.915%)、厚生年金9.15%
を乗じた額です。保険料計算対象額の上限は、健康保険573万円(4月1日から翌3月31日の累計)、厚生年金150万円(1月ごと)です。
※組合管掌・基金等にご加入の事業所様に関しましては、料率が異なりますのでご注意ください。

(2) 雇用保険料の計算方法(本人負担分)

被保険者それぞれの総支給額に5.5/1,000 (建設の事業は6.5/1,000)を乗じた額です。

(3) 被保険者負担分に1円未満の端数がある場合

50銭以下を切り捨て、50銭1厘以上は切り上げて1円となります。
(ただし、慣習的な取扱い等の特約がある場合は、特約に基づき端数処理をしてください)