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2012.8.22                       Since 2011_x000D_
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~ 転ばぬ先の労務管理メルマガ ~
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淀川労務協会  “実録”  労務 虎の巻  第15号
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毎月1回配信
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― 淀川労務協会 -  です。
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このメールマガジンでは、私どもがこれまで顧問サービスとしてご提供してきた
人事・労務・社会保険等に関する事例や情報の中から、特に皆様に知って頂き
たい事例を毎回2ケース厳選しご紹介させて頂いております。
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――――目次―――――――――――――――――――――――――――
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【ケースNo.30】 [定年再雇用] 再雇用を拒否すると当然に不当とされるか?
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【ケースNo.31】 [一人親方]  請負関係にある作業員の建設現場での事故  
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【ケースNo.30】

現在、高年齢者雇用安定法により企業には65歳までの雇用確保が義務付けら
れていますが、いかなる理由でも会社側の都合によりこれを拒否し定年年齢や
65歳未満で労働者を雇い止めすることは出来ないのでしょうか?
もしこれを拒否し、労働者からこの拒否が無効だと主張された場合には、当然
に労働者の主張が正当だとされてしまうのでしょうか。

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高年齢者雇用安定法第9条1項では以下のように定められています。

『 定年(65歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている
事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するた
め、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれ
かを講じなければならない。
1.当該定年の引上げ
2.継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢
者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
3.当該定年の定めの廃止 』

この条文に私法上の効力(労使間の権利・義務を拘束するもの)が具備されて
いるかというと、制度内容を一義的に規定しているのではなく多様な制度を含み
得る内容と考えられ、直ちに私法的強行性を有するような具体性を備えていな
いと考えられています。(日通岐阜運輸労働契約上の地位確認等請求事件 H
23.7.14 他)

この事は、同条項の義務違反に対する制裁が、緩やかな指導、助言、勧告を規
定するのみであること(法10条)からも窺われます。

次に、会社がこの法に基づき再雇用基準を定めた再雇用規程等を制定してい
た場合、定年到達者がこの再雇用基準を満たしていることをもって会社の再雇
用拒否を無効だと主張したとしても、あくまで再雇用契約が締結されない限り、
当該労働者は定年後の労働契約上の権利を主張できる立場にはないと解され
ています。

更には、この再雇用拒否に、例えば経営悪化等の客観的合理的理由があり社
会通念上相当であると認められる場合には、「期間の定めのある雇用契約の雇
い止め」に類似するとして、再雇用拒否そのものが認められることもあります。
(フジタ地位確認等請求事件 H23.8.12 )

つまり、現状では高年齢者雇用安定法は緩やかな法律といえ、再雇用契約を
締結していないのであれば、同法に違反したことをもって直ちに使用者が不利
な立場となる訳ではないものと考えられます。

最後になりますが、同法に私法的強行性が備えられていなくともあくまで「義務」
であることには変わりはありませんから、「高年齢者等の職業の安定その他福
祉の増進を図る」という同法の主旨を尊重し、法律に従った対応をお願いしたい
と思います。

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【ケースNo.31】
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当社(建設業)が1次下請として入場している建設現場で、当社と契約している
個人請負の作業員(いわゆる一人親方)が、足場から転落し大怪我を負いまし
た。
その後、その一人親方が「自分は請負作業員ではなく実態として労働者だった」
と主張し、怪我の治療費や休業時の所得補償に労災保険を適用して欲しいと
申し出てきました。
元請会社に提出する作業員名簿には、当然、その者を一人親方だと記載してい
ます。どのように対応すればよいでしょうか?
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「労働者災害補償保険」が労災保険の正式名称であることからもわかるように、
業務請負関係にある作業員(一人親方)は労災保険上の労働者ではありませ
んから、労災保険を適用する事はできません。

では、この作業員とは業務請負契約書を締結しており、元請会社にも「一人親
方」として名簿提出しているのだから、本人の要求を吟味せずに門前払いにし
ていいかというとそうとも言えません。

労災保険の適用においては、契約書上の関係ではなく、実態を重視し、その者
が純粋な一人親方なのか、もしくは労働者性が多大に伺える一人親方(実態、
労働者)なのか、総合的に判断されることとなるからです。(経験上、労災保険
は労働者性を比較的広く認める傾向にあります。)

労働者性の判断は、報酬の支払い形態、現場での発注者からの具体的な指揮
命令・時間等管理の有無、源泉所得税等の控除の有無、発注者への専属性、
作業工具の負担主体等によります。

明らかに請負関係にある場合には当該作業員の要求を拒否しても構いません
が、実態として一定の労働者性が伺えるのであれば、労災保険を使えるように
当該作業員に協力し元請会社に働きかける必要があると考えます。(建設現場
で従事する労働者の労災事故には元請の労災保険しか適用できません)

尚、建設業の一人親方には任意加入の労災保険(労災保険の特別加入といい
ます)が制度化されており、この場合には元請会社の協力が必要なく、ご自身
の保険として国に労災請求することが可能です。

当協会の併設団体である北大阪建設組合(http://www.hitori-oyakata.jp/)でも
この制度に加入することが出来ますので、加入を検討される方はお気軽にお問
合せ下さい。

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☆本件についてのお問い合わせは淀川労務協会コンサルティング業務部門ま
でお願いします。
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