総務部の脇です。

1/25の日本経済新聞の記事に、『日本経済の成長と国際的な競争力の源泉は、人的資本の育成と人材の有効活用にあるが、これまでの日本の企業、とりわけ人事部門は人的資本の蓄積を大きく阻害してきた。』とありました。私自身、人事部門にどっぷりつかりながら企業人生を送った時期もあるだけに、この記事の冒頭の表現にかなり興味を持ったので読んでいきました。

簡単にまとめると、次のような内容です。

『企業の採用を担当する人事部門が学生に対して「重要科目、語学のできない学生は採用しません。そうでないと中国をはじめとするアジア諸国の人材と競争になりません。大学でしっかり勉強してきなさい。」とハッキリ言わなかったから、学生も「体育系の部活やサークルで体力と協調性を身につけていればそれなりの企業に雇ってもらえるし、社内でも昇進できるだろう。」と変な勘違いをさせてきたのではないか?だから、現在のような経済環境の中でも競争に打ち勝つことのできる人材が、日本の企業には少ない。』

読み終えて、うなってしまいました。昔から言われていたことは、企業サイドとしては、勉強不足の新入社員が多いので、「大学の授業をもっと厳しくして、欧米の大学のように、入学よりも卒業の方を厳しくして学生にもっと勉強させるべきだ」とは逆のアプローチだったので、私自身、本当に考えさせられました。
私が就職した時代は、学生時代はあまり勉強せず、採用された企業の中のOJTとOffJTによって鍛えられて社会人として成長していくことが、当たり前の事だと考えていましたし、企業サイドも、学生の勉強不足が当たり理前の状況の中で、勉強ができる人材よりも、積極的で前向きなコミュニケーション能力のある人材を採用している傾向が強かったと思います。(特に体育会系は就職に強かった・・・・・)

また、私の人事部門での採用活動を振り返ると、学生時代の勉強内容(専門分野)を厳しくチェックするということよりも、その人が積極的で、協調性があり、我慢強く、そして自社に対応できる適性があるかどうか(やりすぎですね・・・)を第一の選定基準としていました。極端に言うと勉強が少々できなくても人間力のある人間を、入社後に鍛えていくという採用でした。(もちろん、そうでない企業も多いと思いますが・・・・)

しかし、今日のように短期間にグローバルな事業展開をしないと生き残れない時代になってしまった状況では、入社後にスキル(語学、専門知識)を鍛えていくというやり方ではタイムリーに対応することができません。学生のうちに企業に入ってから必要となる知識・スキル(語学や法律や会計等々)を身に着けておく必要性があるという事です。そのような人材が企業内に数多くいないと企業として存続できない時代です。
いみじくも、この記事の掲載された1/25夜のTOPニュースで日本の貿易収支が31年ぶりに赤字になったとの発表がありました。これは、日本の経済がパラダイムシフトしたことをまさに決定づけるものです。

 この新聞記事は、次のようにまとめています。『日本企業は、基本的な知的能力の必要性を学生に対して宣言すべきだ。きちんとした日本語の文章が書けて、英語が読み書きリスニングでき、会社法、財務会計、数学がある程度わかることが必要だと宣言し、できない学生は入社試験で落とす必要がある。企業がこうした採用方針で臨めば、学生もそれに応えて企業で必要なスキルを身に着けるように励むだろう。これは、大学にも授業内容を刷新するプレッシャーを与え、日本企業の将来の人的資本の蓄積を刺激していくだろう。』
(これからの大学生はすごい人ばかりだ・・・・・)

大学に進学することは勉強するためであり(私はえらそうに言えませんが・・)、その勉強内容は、将来の自分の仕事に活かせるものにすることが理想であることは誰もが認めることです。
今、私の娘が通っている高校でも、1年の文理選択の際に、将来の自分のやりたいこと、職業を考えながら、志望大学・学部を考え、そこで自分が勉強している姿をイメージして決めなさいと指導しているようです。(う~ん、きびし~。この時期に真剣に将来の事について考え、悩むことが大切との事・・・・高校1年で将来のやりたい仕事か・・・・・、私は何も考えてなかったのに・・・・・)

東京大学が、大学の国際競争力を高めるために、秋入学を検討しています。企業も大学も国際競争にさらされている状況から考えると、この新聞記事のように企業サイドからも学生に対して、そして大学に対して自社の必要な知識・スキルは何かを明確に打ち出していく必要性があると思いますし、そうしなければ、世界の競争の中で生き残っていけないことは明らかです。(現在の就職氷河期の中で、既に打ち出している企業はあるとは思いますが・・・・)
これから、大学を目指す皆さんには、大変かとは思いますが、自分自身の将来像を徐々にでも明確にしていきながら、目標をもって勉強して欲しいと思います。
(もちろん、人間力もつけながら・・・、私の娘たちもガンバレ!!)

時代背景、経営環境の違いがあるにせよ、私自身も日本企業の人的資本の蓄積を阻害した一員であることを認識させられた新聞記事でした。(泣)色々と考えさせられたので、だらだらと書いてしまいました。すみません・・・・