業務部の三浦でございます。
安部首相は今月7日、個人事業主を含む中小・小規模事業者を対象に日本政策金融公庫などを通じて「実質無利子、無担保の融資をする」と述べられました。
新型コロナウイルス問題で資金繰りが悪化する中小零細企業にとっては非常に有効な対応だと思います。
一方、このような有事に備えて企業が内部留保を蓄積しておくことがいかに大切かに気づかされます。
実質賃金を引き上げるために政府や労働組合は内部留保の蓄積を抑制して(切り崩して)賃上げに回すよう求めてきました。
勿論、労働価値に見合う賃金を支払うべき事は当然ですが、内部留保が不十分なまま賃金に過剰に分配するとこのような有事に対応する事が難しくなり、結果、厳しいリストラの断行、政策に頼りきった経営、場合によっては耐えられずにデフォルトとなってしまいます。
内部留保の大きな目的の1つとして「有事に直面した際の正常化までの時間の獲得」があります。
大企業は大震災やリーマンショックを経験したからこそ政府や労組の要求を跳ね除け、グローバル企業で求められる水準迄の内部留保の蓄積に注力してきました。
アベノミクスで人件費に過剰に分配していたならば今回の問題に長くは耐えられない大企業が続出する事態となったでしょう。
結果、連鎖的に中小企業にも大きな影響が出たことは必至です。
労働者に対する企業の「責任」は、賃金に分配することにあるのか、雇用を守ることにあるのか、事業体としての存続を優先させることにあるのか。
雇用流動化へと変貌を遂げようとする入り口に来た日本の労働環境において、今回の問題は改めて企業の責任と今後の舵取りについて考えさせられる事になるでしょう。