業務部の三浦です。

「ハッカソン」という言葉をお聞きになったことがありますか?

ハッカソンとは、上手くやり遂げるという意味の〝Hack”と、陸上競技の〝Marathon”とを組み合わせた造語で、様々な職務や立場のメンバーがチームを作り、与えられたテーマに対してそれぞれの技術やアイデアを持ち寄って、短期間(1日~1週間程度)集中して、テーマに対する成果を競い合うイベントを意味します。

サンマイクロシステムズなどのIT系企業を中心に2000年前後から始まったと言われるワークショップですが、近年ではTV局やプロ野球等、様々な業種が主催者となり賑わいをみせています。

ハッカソンにおける〝成果”とは、具体的なアウトプットを生み出すというよりも次の何かが生まれる為の土壌を生み出すことを意味します。

例えば、Googleが自動運転車の開発を進めている事は有名ですが、一見、異業種と思えるこの分野への参入も、「Googleが業績を向上させるためにインターネットを閲覧する時間を増やすにはどうすればよいか?」というテーマに対し、「車の運転を自動化する事でインターネットを楽しめる時間を生み出せばよいのでは・・・」というハッカソン的発想をもとに進められた事業だと言われています。

伊藤園は、「どうすれば砂糖入りの炭酸飲料を飲んでいる人の半分を無糖の緑茶愛好者に変えられるか?」といったテーマの〝茶ッカソン“なるものを開催しているようです。

このようなワークショップは種々ありますが、ハッカソンの特徴は様々な職種、立場、年齢等のメンバーがチームを組み短期集中の合宿形式で競争を煽ることで、規制概念に捉われないアイデアが生み出されるところにあります。

私の仕事に置き換えてみると、「職場環境を良くするためには」といったテーマでの労使論議に参加させて頂くことも良くありますが、どうしてもお互いの権利・義務に立脚した利害前提での問答(綱引き)となってしまうため、予め想像のつく範囲での窮屈な発想に陥りがちです。

これに対し、例えば「IT経営者と大工さん」、「寿司屋の大将と銀行窓口の女性」等、全く別会社、異業種の利害関係のない経営者、従業員でチームを組んだ、労務ハッカソンを企画し、〝働きやすい職場環境を作るためには″といったテーマで競い合ってみれば、ひょっとすると面白い成果が生まれるのではないかと思います。

「労務に公式を当てはめない。」

難しいですが、昨今の多様な労働環境を考えれば、必要な前提かもしれませんね。