業務部の村崎です。

 隔月でご報告しています、「建設業における社会保険未加入対策」問題で、国土交通省から「社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂(案)」が発表されましたのでご報告致します。

 今回のガイドライン改訂案の主な内容は、「法定福利費を内訳明示した見積書提出の見積条件への明示」
というところで、「下請負人が自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積り、元請負人に提示できるよう、見積条件の提示の際、適正な法定福利費を内訳明示した見積書を提出するよう明示しなければならない」とされ、また、「提出された見積書を尊重し、各々の対等な立場における合意に基づいて請負金額に適切に反映することが必要であり、他の費用との減額調整を厳に慎むこと」と明記されています。

 簡単に言うと、元請企業は下請企業に対して、見積書に必ず法定福利費を記載して提出するように義務付けして、提出された見積書に基づいてきちんと払えということになります。

 様々な専門工事の建設業者さんから社会保険加入についての相談を受けますが、社会保険に加入する際の共通の問題は保険料です。どの業種の下請企業でも、現状の請負単価では社会保険料まで捻出できない、だから社会保険には加入できないと言われます。

 今回のガイドライン改訂は、ここに踏み込んで、元請企業から下請企業に法定福利費(保険料)が支払われる仕組みを確立し、下請企業の社会保険加入を促進するように指導する内容になっています。

 改訂案は、平成27年4月1日から適用される予定となっていますので、今後大手企業の現場では、法定福利費を計算して報告するよう求められるケースも増えてくるものと思われます。それに伴い、雇用保険、健康保険・厚生年金保険に適正に加入しているかどうかのチェックも厳しくなります。また、事業所としての加入状況だけでなく、施工員が従業員か一人親方か、常用か臨時かといったところまで、詳しく確認されるようになるものと思われます。今、社会保険に加入するかどうか迷っておられる下請企業でも、法定福利費(保険料の会社負担分相当額)が確保できるなら加入しようというところも増えるかもしれませんが、すべての元請企業が支払ってくれるわけではない現状では、加入時期等難しい判断を迫られることになります。