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2014.7.24   Since 2011_x000D_

~ 転ばぬ先の労務管理メルマガ ~

淀川労務協会  “実録”  労務 虎の巻  第38号

毎月1回配信
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Point1.『関西最大級の規模』

Point2.『業界最高水準の解決力』

Point3.『50年の実績と信頼 ~労務に一途~』

“本当の人事労務問題解決力”を貴社に提供する労務管理のリーディングオフ
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― 社会保険労務士法人 淀川労務協会 -  です。

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このメールマガジンでは、私どもがこれまで顧問サービスとしてご提供してきた
人事・労務・社会保険等に関する事例や情報の中から、特に皆様に知って頂き
たい事例を毎回2ケース厳選しご紹介させて頂いております。_x000D_

――――目次―――――――――――――――――――――――――――

【ケースNo.76】 [個人情報] 人事考課の開示請求

【ケースNo.77】 [退職金] 懲戒解雇該当者の依願退職に対する退職金

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【ケースNo.76】

ある従業員から、「人事考課は個人情報なのだから、評価者のコメント等含めて
全て開示して欲しい」と求められました。会社はこれに応じる必要があるので
しょうか?

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個人情報保護法では、「本人から保有個人データの開示を求められたときは、
遅滞なく、書面または本人が同意した方法でそれを開示しなければならない」
旨、定められています。
人事考課結果や考課者のコメント等も6箇月以内に消去されるもの以外は、こ
の「保有個人データ」に該当すると解されており、本人からの開示請求に応じな
ければならないというのがまず原則といえます。

一方で、「業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす恐れがある場合」について
は適用除外に該当し、開示請求に応じないことが認められています。

つまり、人事考課に関する情報を開示することが「業務の適正な実施に著しい
支障を及ぼすかどうか」が個人情報保護法における開示の要否の判断基準と
言えそうですが、この判断基準については残念ながら具体的には示されていま
せん。

次に労働行政による解釈ですが、「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱
いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成16年7月1日
厚生労働省告示)では、まず「人事評価、選考に関する個々人の情報について
は、基本的には非開示とすることが考えられる」とされており、これに続いて、
「その取扱いについては労働組合等と協議した上で決定することが望まれる。さ
らに、非開示とする事項につき労働組合と協議を行った上で決定した場合、労
働者に対してもその内容につき、できるだけ明確に提示し、周知徹底を図ってい
くよう努めなければならない。」と努力義務として定めています。

結局のところこの問題はいまのところ各々の解釈に委ねられそうです。

私見と致しましては、人事評価は人の優劣を決めたり罰を与えることがその第
一義的な目的ではなく、正しい現状認識と目標設定による育成を目指すための
ものであり、その効果に期待するのであれば、開示義務云々は別として少なくと
も標語(S~D等)や評価基準、育成コメント等の内容は従業員に請求されるま
でもなく積極的に開示すべきではないかと考えます。
それが評価者の成長や均質化、評価制度の充実、信頼獲得に繋がります。

一方、評価者のメモ書き等、そもそも本人に伝わらないことを前提として書か
れたものについては、他の従業員との比較に関する記録もあり得るでしょう。
そのような細かなものや、他者に影響を与える内容まで開示されるならば、評
価者はリスクを感じ、忌憚のない評価を行うことが難しくなるでしょう。
よって、このような内容に関しては非開示とすべきと考えます。

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【ケースNo.77】

明らかに懲戒解雇に該当する大きな問題を起こした従業員に対し、上司が本人
の将来への影響を考慮して依願退職を勧めたところ、本人がこれに応じ退職届
を提出してきました。
当社の退職金規程では、「懲戒解雇された者には退職金の一部または全部を
支給しない」旨定めていますが、この者に退職金を支給しなくでも良いでしょう
か?

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第●条 「懲戒解雇になった者には退職金は支給しない」
第▲条 「就業規則に定める懲戒基準に該当する反則が退職の原因となった者
に対しては、その者の算定額から50%以内を減額することができる。」

このような定めを退職金規程に設けている会社において、「仮に懲戒解雇相当
の行為があったとしても,現に被告が原告を懲戒解雇したとの主張・立証がな
い以上,その行為が存在することのみを理由として退職金の支払を拒むことは
できない」とした裁判例があります。(アイ・ケー・ビー事件・東京地裁 平6.6.21
判決)

このような事態を避けるためにも、

第■条 「懲戒解雇事由に該当する行為があるときは、退職金は支給しない。」
乃至、「懲戒解雇の場合には退職金は支給しない。懲戒解雇事由が存在すると
きも同様とする」

といった定め方に退職金規程変更されることをお勧め致します。

尚、問題行為を起こした後に変更した就業規則の内容を本労働者に適用す
ることは困難なので、「懲戒解雇に相当する問題行為を起こしたので退職金が
支払われない事を了承する」といった旨の内容を退職願に補記頂くようにしま
しょう。

「本人がこれを拒否した場合には懲戒解雇に切り替えられるか?」という問題に
関しては、以下をご参考下さい。

https://yodogawaroukyou.gr.jp/archives/3902

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☆本件についてのお問い合わせは淀川労務協会コンサルティング業務部門ま_x000D_
でお願いします。_x000D_
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