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2012.5.31                       Since 2011

~ 転ばぬ先の労務管理メルマガ ~

淀川労務協会  “実録”  労務 虎の巻  第12号

毎月1回配信
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このメールマガジンでは、私どもがこれまで顧問サービスとしてご提供してきた人
事・労務・社会保険等に関する事例や情報の中から、特に皆様に知って頂きたい事
例を毎回2ケース厳選しご紹介させて頂いております。

――――目次―――――――――――――――――――――――――――

【ケースNo.24】 [休職期間中の対応]  病気休職中の従業員から随時病状報告を受けたい

【ケースNo.25】 [労災申請への協力]  うつ病の労災申請を求めてきた場合どうすべきか

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【ケースNo.24】

 
弊社には現在、業務外の原因により重い病気に罹患し休職している従業員がいます。
弊社としましてはその従業員の復職の可否やそのタイミングに備えるためにも定期的
に病状を報告して貰いたいと考えているのですが可能でしょうか? 
可能な場合、その内容や頻度はどの程度まで求めることが出来るでしょうか?

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まず休職制度は法律で義務付けられているものではなく、就業規則等により会社が独自
に設定しているものです。つまり、休職期間中の報告義務も、「就業規則上の義務」として
定めておけば、課すことが出来るものと考えます。

一方、就業規則上このような定めが無い場合については、休職期間中は労務の提供が免
除されている(一般的には賃金も支払っていない)訳ですから、報告を労働者の義務とする
のは困難であるとも考えられます。

しかし、使用者の指揮命令権が及ぶ範囲は実際の労務提供の場面に限定されるわけでは
なく、労働契約を締結した以上は、不就労期間(時間)においても一定の合理性の下に業務
命令権は及ぶものと考えられます。
つまりは、休職期間中の労働者に対して報告義務を課すことに労働契約に基づいた一定の
合理性があるかどうかが判断の分かれ目となるでしょう。

ご相談のケースですが、一般的な報告義務を課す規定が存在しない場合であっても、労働
者の最も重要な義務である「労務提供義務」の免除措置を継続する必要性を判断するために、
使用者が休職者の最新の健康状態や療養状況を知ることは労働契約を継続するために不可
欠なものであり、休職者に対してこうした報告義務を課すことは労働契約の解釈上、当然に導
かれる義務であると考えます。
つまり、合理的な範囲(内容・頻度)の報告であれば、休職期間中であっても、また就業規則上
の根拠規定の有無にかかわらず、業務命令としてこれを求めることが出来ると考えます。

 
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【ケースNo.25】

長時間労働や上司からハラスメント的な発言を受けていた事などが原因でうつ病に罹患したと
して従業員が労災申請を求めてきました。
調査の結果、時間外労働は月平均60時間程度、ハラスメント的な発言というのも一般的な叱責
が若干過剰気味になった程度であり、これが労災というのは納得いきません。
本人の労災申請に協力しなければならないのでしょうか?

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労災申請における事業主の証明は、1)「負傷又は発病の年月日及び時刻」 2)「災害の原因
及び発生状況等」を証明するものであって、それが労災であることを証明するものではありません。
労災か否かを判断するのはあくまで監督署です。
事業主が証明しない場合でも、労働者はその証明のないまま労災申請出来うるものである以上、
道義的責任を含め無碍に断っても仕方がないことのように思います。
むしろ断ることにより会社と労働者との溝が深まるリスクの方が大きいでしょう。

よって、基本的には労災申請に協力するということが前提となります。

しかし、もし労災認定された場合には、労働者は「監督署から業務災害に認定された」という
事実をもって事業主に対し安全配慮義務違反等による民事賠償を求めてくる可能性が高い
ため、特にご相談のような微妙な事案については以下の2点に注意するようにしてください。

1) 労災請求書の「災害の原因及び発生状況」欄については従業員が自身の主張を元に記載
してくるケースが多いのですが、何ら異議を唱えずに証明した場合、労災で補填されない民事
賠償の部分について従業員の主張を認めたとされる可能性があります。
会社の認識と異なる部分については、除外部分を明確にした上で証明するようにしてください。

 
2) うつ病のような精神疾患は、「業務上(職務を原因とするもの)」の事由だけではなく、
当然に「業務外(私的な問題を原因とするもの)」の事由を原因として発病することもありますし、
その両方が原因となることもあります。
例え会社が事実をありのままに伝えたとしても、労働者には「なんとか労災認定を受けたい」という強
い欲求がそもそもあるため、業務外の事実を事業主と同じようにありのままに伝えるとは考え難く、
また監督署の業務外部分における調査は経験上、十分なものとはいえません。
よって現実的な会社のリスク対策としても「正直者が馬鹿を見る」という結果になるのは避けなければ
なりません。
もし、労働者の業務外のストレス因子等(離婚問題を抱えていたり、入社前に既往歴があるなど)につ
いてなんらかの情報を得ている場合には、「会社も正直に報告するのだから、君も正直に話してほしい」
と情報収集する必要があるでしょう。
そのためには面接やアンケートなどにより、定期的に労働者のストレスを「業務外の部分も含めて」把握
するよう努めることをお勧め致します。
あまり深くプライベートに立ち入ると問題があるかもしれませんが、業務外部分(必要な範囲で)を含めて
労働者の疲労度を総合的に確認することについては安全配慮義務の面において一定の合理性があるも
のと考えます。

 
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☆本件についてのお問い合わせは淀川労務協会コンサルティング業務部門までお願いします。
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