令和7(2025)年の年金制度改正法により、所定内賃金が月額8.8万円以上(年収約106万円)とする賃金要件については、最低賃金の状況を踏まえ令和7(2025)年6月から3年以内に撤廃されるとともに、従業員50人超の企業を対象とする企業規模要件については、段階的に縮小・撤廃されることとなります。

今回は社会保険加入のメリットと年収の壁対策についてご説明します。

●いわゆる「年収の壁」とは

厚生年金保険及び健康保険においては、会社員の配偶者等で一定の収入がない方は、被扶養者(第3号被保険者)として、社会保険料の負担が発生しません。

こうした方の収入が増加して一定の収入を超えると、社会保険料の負担が発生し、その分手取り収入が減少するため、これを回避する目的で就業調整する方がいらっしゃいます。その収入基準(年収換算で約106 万円や 130 万円)がいわゆる「年収の壁」と呼ばれています。

106万円の壁と130万円の壁の概要

●社会保険(健康保険・厚生年金)加入のメリット

① 健康保険に加入すると、病気やけが、出産のため、会社を休んだ場合に収入が保障されます。

健康保険の給付(傷病手当金・出産手当金)

② 厚生年金に加入すると、「基礎年金」に加えて「厚生年金」が受け取れます。

厚生年金加入前後のイメージ

●「年収の壁」対策

① キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)の新設

令和7年7月1日、社会保険適用時処遇改善コースの「労働時間延長メニュー」の要件を見直すとともに、助成額を拡充した新たな「短時間労働者労働時間延長支援コース」が新設されました。

労働者を新たに社会保険に加入させるとともに、収入増加の取り組みを行った事業主に助成されます。

(労働者1人につき最大75万円)

短時間労働者労働時間延長支援コース 助成額と要件

※小規模企業とは、常時雇用する労働者の数が30人以下である事業主を指します。

【注意点】対象となる労働者は、社会保険の加入日の6か月前の日以前から継続して雇用され、社会保険の加入要件を満たさない条件で就業していた者になります。

② 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化

健康保険の被扶養者として認定されるためには、原則として年間収入130万円未満である必要があります。

パート・アルバイトで働く方が、繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が一時的に増加し、直近の収入に基づく見込み年収が130万円を超える場合でも、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入れるようになる制度です。

詳細につきましては、お気軽に当協会担当までお問い合わせ下さい。