業務部の村崎です。

 毎年7月初旬に発表されている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の年金積立金の運用実績が今年は7月末頃に発表されるそうです。

 時々気になって4半期の運用実績を見たりしていますが、平成27年度は第4四半期も運用実績も発表されていません。恐らく、年間トータルでかなりのマイナスなのでしょう。第2四半期でも、7兆円を超える損失が出ていましたから、年間でも損失が出ているはずです。

 今年は例年と違い、発表時期が参議院選挙の期間にぶつかってしまうので、選挙への影響を考えて発表を先延ばししたということだと思いますが、余程の損失なのでしょう。実際に、ネットで調べてみると5兆円を超える損失が出ているという専門家の分析がありました。
 
 2014年から年金積立金の運用基準が大幅に変更され、国債など国内債券の比率が60%から35%に大幅に下げられ、株式投資の比率が50%に引き上げられました。国債など国内債券での運用では、このような運用で損失が出て、資産が目減りするというようなことはなかったのですが、株式投資の比率が高まればリスクも大きくなり、今回のような巨額の損失(多分)が出るということも十分にあり得ます。

 もちろん株式投資は、長い目でみないといけません。短期的に一喜一憂すべきものではないとは思います。しかし、つい最近もイギリスのEU離脱ショックで株価が急落したばかりです。平成28年度第1四半期の運用実績は、赤字確定ではないでしょうか。国内経済を見ても、国際経済を見ても不安定要因が多く、今年度中は株価を押し上げるようなプラス要因はなかなかないような気がしますから、通年でも損失が出るではないかと思います。

 年金積立金は巨大なファンドです。株式投資に巨額の資金が投入されれば株式市場は活況を呈し、株高を演出するのに都合がいいのはわかりますが、元はわれわれの保険料です。アベノミクスに利用されて、残ったは積立金の大幅な目減りとならないことを祈るばかりです。